粉体塗装では、一度の塗装で厚膜での形成をすることができます。その際の膜厚は、静電粉体塗装法で最大150µmにも達し、溶剤塗装の膜厚約20µmと比較すると数倍の厚みに相当します。
また、焼付塗装の一種であることから、塗膜自体の強度が高く、柔軟性にもすぐれます。
静電粉体塗装法は、コロナ荷電法と摩擦荷電法に細分化されます。摩擦荷電法は、ガン内部にテフロン筒を設け、粉体塗料がテフロンと擦れる際に、帯電序列に従い粉体塗料をプラスに帯電させる方法であり、塗膜外観や複雑な形状への入り込みが良いため、作業時間の短縮になり生産効率の向上につながります。
環境汚染の原因となるVOC(揮発性有機化合物)を一切配合していません。有機溶剤を含んでいないため、シックハウス症候群などの健康被害が発生しづらいという特徴があります。
さらに作業工程におけるCO2の排出量が少なく、塗料の再利用が可能であることから、環境にも人体にも優しい次世代のエコ塗装といえるのです。
有機溶剤不要の粉体塗装は、塗料の回収再利用が可能となるため塗装時の塗料ロスを削減することができ、塗装作業性が大変優れているため塗装コストの削減にもつなげることが可能です。
粉体塗装の塗膜は、耐食性・耐候性・耐薬品性などの性能にもすぐれています。粉体塗装では、その性質から塗膜が厚く、ピンホール(塗面に生じる小さな穴)が少ないため、被塗物が空気に触れにくく、錆びにくいという特徴があります。
溶剤塗料の塗装方法は有機溶剤に樹脂や顔料を溶かし入れ、ハケやスプレー、ペイントローラーなどで被塗物に塗っていきます。
一方、粉状の顔料を直接吹き付けて金属などの被塗物に塗膜を形成する塗装方法が「粉体塗装」と呼ばれる塗装方法です。
イメージ的には色を塗るというよりも「パウダーコーティング」の文字通り、「細かい粒子で表面をコーティングする」というほうが近いイメージです。